2008年2月11日月曜日

事件が呼んでいる?

けさの新聞(日経新聞)を見て驚いた。

「三井物産、データねつ造 排ガス浄化装置」「ディーゼル車規制 性能偽り販売」と1面に大きな記事が出ていた。

4日前の先週の金曜日、物産のOL8人と昼食をかねて同社でミーティングをしたばかりだった。わが社では、丸の内のOL向けの経済・金融セミナーの企画を考案中で、物産の知人に頼んで30代前後のOLのみなさんを集めていただいたのだ。

同じ大手町同士のご近所なのに、物産本社を訪ねたのは6、7年ぶりだった。

かつて物産には、経団連副会長を務めた名物経営者の八尋俊邦さん(3年前死去)がいた。

「ネアカ、のびのび、へこたれず」が信条で、大の巨人ファン(とくに王監督ファン)、小池百合子さんが政界に挑戦するさいの相談役でもあった。

八尋さんは東京商科大学(現一橋大学)卒業後、1940年に三井物産に入社。化学品畑を歩み、79年6月から6年間、社長を務めた。会長などを経て2000年6月からは同社顧問。87年に勲一等瑞宝章。

次のエピソードも有名だ。

八尋さんがゴルフ仲間に出す招待状には「雨天の場合は連絡します」との一項が入っていない。なにがあってもゴルフ場に出てこい、という意味なのだ。八尋さんは「ラグビーを見ろ。雨の日のどろんこのなかで闘うのは美しい。経営も、人生もこの心がけでいかなくては」と語っていたという。

日米貿易摩擦が激しい時代、ブッシュ大統領(現・ブッシュ大統領の父)が米自動車メーカーのトップらを連れて来日したことがあった。「黒船外交」とも呼ばれた。

八尋さんは当時、名誉会長で経営の一線を退いていたが、舌鋒は鋭かった。僕は2度、日本側の対応についてインタビューした。弱腰・日本外交の常だが、このときの玉虫色決着を、八尋さんは「バンソウコウ合意だ!」と辛口で批評していた。

長島ジャイアンツが低迷したときは、巨人再建案をしょっちょう聞きに行ったものだった。

「原は中間管理職タイプ」などと野球選手をサラリーマンにたとえ、部下操縦術のひけつや経営トップの心構えなどを教えてくれた。

社員食堂で、ランチをごちそうになったこともあった。八尋さんは、社長になってまもなく、三井物産が社運をかけた日本とイランの合弁プロジェクト、IJPC(イラン・ジャパン石油化学)事業の撤退、清算を決断した。IJPCはイラン革命、イラン・イラク戦争の激動に翻弄され続け、このまま続けていれば、物産の致命傷になっただろう。

八尋さんは「やれ!と指示するのは簡単ですよ。でも撤退を決断することほど難しいものはない」と述懐していた。

今回の「データ捏造」というスキャンダル、八尋さんが存命ならどうカツを入れただろうか。僕は、「ネアカ、のびのび、へこたれず」の八尋イズムをもう一度、思い出せ!と言いたい。

それにしても、訪問した直後のスキャンダル発覚。以前、ライオンの広報部長に取材ぶりをほめられ(あまりにも広報部員がぞんざいだったので激怒したのが、かえってよかったらしい)、千葉工場の見学に連れていってもらったことがあった。
ところが、1か月後、その工場で爆発事故が発生!事件・事故が僕を呼んでいるのか、それとも不吉な「疫病神」なのか?さあ、僕が次に向かうのは…。(お気をつけあそばせ!)。

(2004/11/23)

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