2008年2月11日月曜日

あしたはどっちだ

きのうの夕方、重役のお供で会計士事務所に向かった。道すがら、重役氏から「来年の景気はどうなると思う?」と突然、聞かれ、一瞬どう答えようか戸惑った。
「中国の経済成長の恩恵を受け、堅調に推移すると思う。企業もリストラで利益を出しやすい筋肉質の体型になった。ただ、すべての企業がよくなるわけじゃない。野球界を見てもわかるように、いまや新旧交代期です。まだら模様でしょう」などと、当たり障りのない返答をした。
最近、株を含め、先行きがまったく読めなくなった。しばらく体調がよくなかったせいもあるんだろうが、世の中の空気、流れる風向きを感じる僕自身のアンテナが、ちょっとサビついてきたのかもしれない。


かつて聞きかじった算命学によると、国家は50年周期で「陰」と「陽」を繰り返すという。これを日本に当てはめるなら、敗戦の焼け野原から経済大国へ向かった戦後50年は、明らかに「陽の50年」だった。だが、それも1995年ごろに終わりを告げ、いまは「陰の50年」に突入しているところ、ということになる。
事実、95年には阪神大震災、オウム真理教事件が発生している。まさしく、陰の50年の幕開けにふさわしい事件、天災に襲われた年だった。その後も、凶悪犯罪が続発している。もしも、算命学の教えが正しいのなら、僕たちは「陰」の中で生きていく知恵を編み出さねばならない。「年収300万円時代」は、そうした時代のひとつの考え方かもしれない。

最近、帝国ホテルの親会社、国際興業をハゲタカファンドと呼ばれる米系投資ファンド、サーベラスが買収するとの報道があった。また、倒産した温泉ホテルの名門、古牧温泉をゴールドマン・サックスがスポンサーになり、支援することも明らかになった。
僕たちが「陰の50年」の幕開けに、立ちすくんでいたのと正反対に、外資は数年前から、都心の土地、破綻したゴルフ場を買いあさり、最近はホテル、観光地の買収にまで手を広げてきた。
さらに商法改正(06年の見込み)で株式交換で企業買収ができるようになれば、日本の大企業(世界企業に比べると、10分の1程度の時価総額にすぎない)なども瞬く間に外資に買収されるだろうと予測されている。

僕たちは、自分たちの価値に気づいていない。気がついたら、大切なものを、ほとんど外資に買われてしまう、ってこともありうるんじゃないだろうか。
先日、ラジオを聴いていたら、ビックリする話題を取り上げていた。
中国から来た観光客に「なぜ、日本に来たのか」、その理由を聞いてみると、
1位は「雄大な自然があるから」だった。
そのときは、何、言ってんだ!って笑ったけれど、よーく考えてみると、そうかもなあ、と思えてきた。
もちろん、雄大さで中国と日本じゃ比べものにならないけど、中国の場合、秘境すぎて(つまり危険で)、観光に行けない。この場合、観光じゃなく、命がけの冒険になってしまうのだろう。
日本の箱庭のような自然が、観光には適しているのかもしれない。しかも、交通の便、宿泊施設の充実、日本流おもてなしの心、などなど、観光客をひきつける要素がいっぱいある。
最近は「箱根」「熱海」「鬼怒川」などのブランドも落ち込んでいるようだが、やり方ひとつで再生ができるんじゃないか。だからこそ、外資も目をつけているんだろう、と思う。

だが、いまさら気づいても、ハゲタカに食い散らかされた後となってしまうのだろうか。
世のおばさまたちは、ヨン様めがけて突っ走ったが、僕たちはどこに向かえばいいのだろうか。

ジョー、あしたはどっちだ。

(2004/12/3)

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